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■太陽電池をどうするか

■必要な容量について
まず何をしたいのか、をはっきりさせましょう。
壁時計の電源を太陽電池でまかなうのであれば、壁時計の消費電力を調べるところから計算は始まります。
壁時計の消費電力が1Wであれば、1W*24時間=24Wとなり一日当たり24Wの電力を必要としていることがわかります。
さらにもう一例。
倉庫の灯りをまかないたいのであれば、倉庫で最小限必要とする灯りの電力を調べることです。それから使用時間です。必要とする使用時間を仮定してください。この時間をやや大目に見込んでおくと実際に運用する際のトラブルを未然に防止できます。例えば「倉庫には家族のスキー板や滅多に使わない工具をしまってあるだけ」、ということであれば1時間程度。倉庫整理のことを見込めば2時間見込めば足りるでしょう。さらに負荷の種類についても、「2畳ほどの物置だから10Wの蛍光灯があれば十分だろう。」などと出来る限り具体的にします。
すると10W*2時間=20Wの電力が必要なことがわかります。
まずは上記のような負荷容量の見当がつけば、しめたものです。
実際にシステムを構築するとパネルの設置角度やバッテリーへの充放電効率、インバータの損失、配線損失etcを考える必要がありますが、影のない南面に太陽電池を設置すれば一日当たり定格値*3程度の発電が見込めます。10Wの太陽電池なら30W/D(日)発電するということです。
すると目安として上記で求めた数値/3以上の性能の太陽電池を用意することになります。
壁時計の例なら
24/3=8Wの太陽電池
倉庫の例なら
20/3=7Wの太陽電池
簡易な容量選定は上記のようなものです。しかし雪の日や荒天が続いた場合はどうなるでしょうか?
ストップしてはならないシステムにはこのための設計余裕も必要です。詳しくは設計の基本をごらんください。
■太陽電池の種類について
製造方法から言えば単結晶か多結晶かアモルファス。
おそらく独立システムに用いる太陽電池の種類は上記のいずれかでしょう。
結晶系は屋外使用に適しています。アモルファスは屋内に適したものがあります。
このいずれかを判断する他、注意することはありません。(若干寿命や安定性に差があります)
次に構造ですが、当店ではスーパーストレート式と呼ばれる太陽電池を推奨しています。
これは構造的に頑健であることと、ボルトナットを使った設置、組替えが容易だからです。
大型の太陽電池のほとんどは断面30ミリ〜40ミリ程度のスーパーストレート式です。

■コントローラをどうするか

■コントローラなしで充電する方法

太陽電池からの電力を直接バッテリーにためこむことはできるか?
これはできます。晴れている限り太陽電池の電力はバッテリーに流れつづけようとします。
しかしこれはあまりにも扱いにくいものです。
まず、夜間には蓄電池からの電力が太陽電池に逆流してしまいます。夜間など太陽電池の発電が無い時にはバッテリーの電力を太陽電池が消費してしまうのです。コントローラの故障を経験された方ならおわかりになるかと思いますが、少なくとも旧式のリレータイプのコントローラはオープンモードで壊れる場合はまだ良いのですが短絡モードで故障した場合は太陽電池とバッテリーが直結になります。すると気づいた頃にはインバータも立ち上がらず、バッテリー電圧は再起不能なまでの過放電になっています。

また、蓄電池が満充電になった場合も太陽電池は電位差がある限りバッテリーに電気を送り込もうとしますから、過充電を原因とする蓄電池破損・爆発の危険があります。
これを防止するためにコントローラは
 1:電流の逆流防止機能
 2:満充電時に充電回路を切断する機能
を備えています。
電流の逆流防止にはブロッキングダイオード(普通のシリコンダイオードなど)ですまないかという相談を受ける場合もあります。しかし電力ダイオードだけですと0.5〜1V前後の不安定なドロップしか制御?を期待できないわけですから太陽電池の動作電圧とバッテリーのサイクルチャージ時電圧またはフローティング時電圧のマッチングをとらないと蓄電池を痛める危険があります。(目安として太陽電池容量がバッテリー容量の100分の1程度でしたら1個のダイオードで逆流防止しても良さそうです。)
また蓄電池は温度によって最適な充電電圧が変動しますので温度補正の回路を持たない場合、高温時や夏季にはやはり過充電による事故の危険が増します。
上手にダイオードのドロップを使うには?→こちら(そのうち続きを書きます)

■容量の選択
負荷の使用容量とシステム電圧が既に決まって太陽電池を選んであれば太陽電池の最大出力電流を調べてみましょう。
太陽電池には必ず「公称最大出力動作電流(Ipm)」という要素があり、パネルの背面や取り扱い説明書に記載してあります。これがパネル一枚あたりの通常の使用下で流れる最大の電流です。
複数枚の太陽電池をを並列に使用する場合はその並列倍数を最大電流と見込んでコントローラを選定してください。無論、後日の増設のためにもコントローラは大きめの容量であるに越したことはありません。
システム電圧は12Vか24Vがおすすめです。(直流機器選択の幅が広がります)

■機能の選択

大は小を兼ねるとは言いますから大きなものはより多くの適用が可能と言ってよいでしょう。そして大きなものほど多機能かつ安全に出来ていることが多いです。
当店の扱うコントローラは下記のようにさまざまな機能を搭載したものがあります。
1:充電制御のみの機種
2:充電制御と放電制御を兼ね備えた機種
3:充電制御と放電制御を別のコントローラで行う機種
4:上記の基本機能のほかにその他風力発電、水力発電設備の安全装置としての投げ捨て負荷制御(転換モード)を持った機種
5:充電制御の際にバッテリーの成層化防止のためのイコライズ充電機能を持った機種(過充電によるガッシング機能)
6:温度センサーにより季節による充電効率の変動に対応している機種。または外付けセンサーオプション品。
7:多くの種類のバッテリーに対応した機種
8:本体が雨風を受けても問題の無い機種。
9:オプション品による機能拡張(リモートディスプレイなど)のある機種。
などなど、ほとんどのコントローラは上記の複合形です。
上記のうち、あなたのシステムにはどれが必要でしょうか?
このような観点からカタログを今一度ごらんください。

■インバータをどうするか

■AC機器をDC入力に改造する方法
インバータは直流を交流に変換する機械です。ところが身の回りを見てみますとAC100Vをそのまま用いるものは電熱器などと意外に少なく、機器の内部で12Vや5Vなどに変換しているものがほとんどです。するとほとんどの電子機器はインバータが無くても、内部電源さえ改造すれば動かすことが可能に思えてきます。
もっともな疑問です。実際に電話機の充電器やノートパソコンはAC100Vを使わずにACアダプタに書いてある電圧、電流値を満たすDCDCコンバータや3端子レギュレーターを作ってやれば満足に動きます。
ですので電子回路の得意な方はそれぞれの機器専用の電源部を作れば良いでしょう。
しかし、これらAC仕様の機器を数多く使おうとすると個別に電源部を改造してやる必要があり大変なことです。またうっかりすると製品を壊してしまいます。電子工作に慣れない方やACを動力源に使う機器がある場合は素直にインバータを使いましょう。

■波形について

インバータの波形はディスカウントショップやホームセンターにおいてあるものは、一般的に次のようなものです。

→矩形波
メリットは安価であることと待機電力が少なく、効率が高いことです。しかし、スイッチング電源が使われている最近のPC機器は問題なく動くのですが、トランスを使った製品の中には発熱するものがあります。また位相制御を使う調光器や電気毛布などは満足にコントロールできません。扇風機やポンプなどは例え動作しても電動機のモーターを焼損してしまうことが多く、おすすめできません。また、マイコン制御の炊飯器などは動作すらしないことも多いです。
ノイズは極めて多く、テレビやVTRには不向きであるといえます。
充電に使用する場合はピーク電圧が不足し、充電不足になる場合もあります。
国産の安価なものはほとんどこのタイプで、周波数を55ヘルツとして東日本の50ヘルツと西日本の60ヘルツの中間を取っており、機器によってはダメージを与えてしまいます。
懐かしいハート社矩形波。当時はその軽さが画期的だった。

一方、当店でご紹介するのは擬似正弦波と正弦波のインバータです。それは次のようなものです。
→擬似正弦波
ややノイズが乗るものの、ほとんどの機器が動作します。電動工具、炊飯器、電子レンジ、モーター類もほとんどのものが満足に動きます。しかし、ここ数年マイコンを搭載した機器が増えてきたこともあって動作しないものも出てきました。また、電圧ピークが低いものはトランス式の電源をもった機器に悪影響を与えることがあります。電力効率が高く、安価であるのが特徴です。
メーカーにより表現が異なりますが変形サイン波というのも、この波形のことです。

→正弦波
商用の電力(コンセントの電気)と同じく、きれいなサインカーブを描くインバータです。エクセルテックのインバータなどはこれに該当し、コンセントから得る100Vの波形よりもきれいなくらいです。放送、通信用機器など信頼性が必要な場合にはもってこいです。電力容量さえ足りるものを選定すればどんな機器でも動きます。
オーディオ、計測用電源、アクアリウム、など既存電源環境からの大きな変化を嫌うものに適用することも効果的でしょう。

■容量について

大は小を兼ねるとは言いますから大きなものはより多くの適用が可能と言ってよいでしょう。しかしその分大きなバッテリーが必要になります。不日照の際の補充電を考え交流充電器を用意することも必須になります。
むやみにシステムを大きくしないためには最低限必要なことをまず考えるべきです。そしてその負荷のサージ(突入電流)に見合ったインバータを選定しましょう。
下記はインバータ容量と使うことができる負荷の関係です。
あくまで一般的な値から決めているだけで、実際にはお使いになる電気製品の最大消費電力を確認してください。。
1:200Wまで→小型テレビ、ビデオ、ゲーム、ワープロ、ビデオカメラの充電器、蛍光打、電気カミソリ、携帯電話の充電器など。ノートパソコン、ハンダゴテ、14型程度のテレビ、殺虫ライト、車載カラオケなど。
2:500Wまで→上記のような負荷でやや消費電力の大きなもの、白熱球、その他充電器など。
3:1000Wまで→トースター、ミキサー、コーヒーメーカー、小型レーザープリンタなど。
4:1500Wまで→掃除機、ドライヤー、電子レンジ、電動工具、デスクトップパソコンと周辺機器一式など。
5:2KWを超える大容量型→上記にあげたような負荷を安心して複数使えるようになります。さらに3KW4KWとなると別荘や自宅の一部までまかなうことができるようになります。直流で使えるものは直流で使うように工夫することで大容量インバータを導入することで完全な独立電源システムが可能です。この規模になりますと、もはや一般の蓄電池ではまったく用をなさず、2Vの単電池を組み合わせた産業用バッテリバンクを用いることになります。また、太陽電池から充電するにせよ、不意の大容量放電を補うための交流充電器を用意することも検討するべきでしょう。

■注意を要する負荷機器

精密な周波数を必要とするタイマー、計測器は正弦波インバータしか使えません。
インバータ方式の蛍光灯、ラピッドスタート式の蛍光灯にも正弦波が必要です。
電池充電器の類は、正弦波以外で使用すると満充電にならない場合があります。
起動電力の大きなもの、例えば冷蔵庫、扇風機、掃除機、クーラー、ポンプなどは起動時に定格電力の5〜10倍を消費しますから十分にこれを見込む必要があります。
また、コンプレッサーや蛍光灯も5倍程度のサージを、テレビやファックスやパソコンやビデオも2〜3倍のサージを見込む必要があります。
スタンバイ機能付きのテレビもテレビの電源が入るときに定格の5倍程度の電力を必要とします。
それから蛍光灯に関してですが、これは蛍光管の消費電力と、器具の消費電力を合わせた消費電力が実際の消費電力ですから、10Wの蛍光灯を灯すにしても10W以上の電力が必要なことに注意を向けてください。

■使い方に関する重要メモ

インバータを車載した場合、エンジンをかけるのが正解か?
これは普通の考え方をすれば、バッテリーあがりを防止するためにもエンジンをアイドリングさせるべきでしょう。
しかし、大電力のインバータ、例えば2KWのインバータがバッテリーから吸い出す直流電流を効率抜きで考えてみますと12V車で実際に1KW使うとして。。。1000(W)/12=83.33(A)
なんと配線不良があればすぐに火事になるほどの電力です。セルモータ駆動の際に流れる電流が80A〜300A程度とすればこれに匹敵する電流を常時とろうとしているわけです。するとオールターネーターは通常では考えられないほどの大電力をバッテリーに送ろうとしますのでオールターネーター焼損の心配が出てきます。そこでキャンパーの中にはオールターネーターを強化改造する方もあるくらいですが、やはり大型のインバータ使用に際しては、アイドリングをストップしてオールターネータに負担をかけないよう気を使うべきでしょう。
では小型のインバータならエンジンをかけたまま使うべきでしょうか?
答えはイエスです。100W程度の小型インバータでしたら電装品の電力消費が二倍になった程度ですのでオールターネーターの負担はたかが知れています。昨今の自動車は電装品が増えている分オールターネーターも強化されていますので旧型車でなければまず問題ないでしょう。
しかし、注意すべきはエンジンをかけるタイミングです。エンジンをかけるということはセルモーター駆動のために大電流+インバーター駆動の大電流となりメーカー想定外の使用方法となります。具体的にはバッテリーから取り出す電流が大きすぎるため、バッテリーは極度の電圧降下を起こし、低電圧保護のないインバータを焼損させる可能性が出てくるわけです。

 ※小型のインバータであれば、インバータ使用前にエンジンをかけること

 ※大型のインバーターであれば数十分あるいは一時間おきなどと時間を決めてインバーターをとめ、アイドリングによる充電をしましょう。

■充電器をどうするか

■小型の蓄電池の場合
当店でご紹介している小型の蓄電池をお使いになる場合、まずは設計を充実させましょう。太陽電池または外の発電ソースからの充電量が不足するのは明らかにNGです。使用量が多く蓄電池の残量が気にかかる場合は自作充電器をおすすめします。(大型の多機能充電器はもったいないという場合)必要な方には当店でも部品セットとしておわけしますのでお問い合わせください。尚、量販店で売っている格安のものを求めても大差はありません。しかし、鉛蓄電池ひとつ充電するにもその充電終止電圧は何種類かありますので、この点に注意して購入する必要があります。ほとんどの量販物はバッテリータイプによる充電電圧の調整ができませんのでご注意ください。

■自動車用鉛蓄電池以上の容量の場合

当店でお取り扱いする充電器はトランスレスの大容量品です。量販店にあるものとおくらべください。量販店のものは重く大きく電流容量も小さなものが多いものです。これは車載や盤設置には向きません。
また、当店でお取り扱いする充電器には複数端子を備えたものもあります。これは複数台のバッテリーを充電することができるものです。端的に言えばどのような充電器も複数台のバッテリーを充電することができるのですが、並列接続されたバッテリーは互いに充放電をしますのでセルに痛みのあるバッテリーの方が正常な蓄電池から逆充電される無駄が発生します。2端子3端子という充電はこれを防止するためのものと言えます。
また、鉛蓄電池は一見どれもよく似ているのですが、実は開放式と密閉式とAGMがあります。これらはいずれもメーカーによる充電電圧の指定がなされていますのでそれぞれに合った充電方式を取る必要があります。当店でご紹介するTruechargeはこうしたきめ細かな充電方法を選ぶことができる大容量充電器です。

■蓄電池をどうするか

■蓄電池を買うべきか買わざるべきか?

バッテリーは実は簡単に中古品が手に入ります。運送会社に頼んでおけばトラックの大型バッテリーが手に入ることもあるでしょう。また自動車修理工場からも比較的状態の良い中古品をもらえたりします。しかし問題はその機能です。自動車用のバッテリーは短時間に大電流を放電するように出来ていますので、太陽電池による独立電源と相性が悪いのです。具体的に申しますと私たちは出来上がったシステムの電気を一瞬で使い切ってしまうような使い方はしません。灯りを5時間、パソコンを1時間、テレビを1時間、電話を24時間などとその容量を長時間に小分けにして使うわけです。つまり放電率を考慮に入れなければなりません。
さらに、自動車用のバッテリーはサイクルユースに向かないのです。つまりちょろちょろと長く電気取り出す構造にはなっていないうえに、繰り返し使用に向かないのです。これを転用してうまく使おうとすると、大型のバッテリーにとても小さな負荷を接続するなどして放電電流を極めて少なくする必要があります(低率放電)。具体的にはLED電球などを運用するには自動車用でも良いでしょう。しかし、普通の電力用途(蛍光灯を灯したり、テレビに接続するなど)に用いると著しく寿命が短いものです。
これを解決するにはサイクルユース用バッテリー(ディープサイクルと言われるものもこの一種です)を使います。
安価なものではマリン用や電気自動車などの作業車用のバッテリーなどがあり、大電力用となると産業用の2V単電池を直列にしたものを用います。残念ながら自動車用バッテリーを並列接続し大電力を取り出そうとすると結果は思わしくないものです。電圧のばらつきと短命に悩まされることになります。

■必要な容量

太陽電池の項やインバータの項でもお話したようにまずは何をしたいのかをはっきりさせることが必要です。インバーターを接続しない小型システムの場合ですら、蓄電池を完全放電させた場合は万にも及ぶ金額で新品再購入となり出費が痛いものです。バッテリーは独立システムにおいて、最大の消耗品であり、高価であることを考えるとその選択は太陽電池以上に重要なものになってきます。従いましてここでは容量に関しての詳説は避けます。「簡単な容量選定は無い」ということです。詳しくは設計の基本をお読みください。

■種類の選択

蓄電池には大変多くの種類があります。私たちが太陽光独立発電で用いるのは専ら二次電池と呼ばれる充電可能なものです。その中でも鉛蓄電池が多く使われるわけを考えてみましょう。まず独立システムは大電力を取り扱います。その際にリチウムイオン電池やニッケル水素、ニッケルカドミウム電池では大きなものがありません。正確に申しますと、ニッケルカドミウム電池には大きなものがあり、これを特に「アルカリ電池」というのですが、余程特殊な用途で無い限り高価で手が出ないものです。公共事業さえ鉛蓄電池を使うのはエネルギー密度対価格がすぐれているからです。
無論、小型のシステム-具体的には自動車用のセキュリティーなど小電力かつ小型なものにはニッケルカドミウム電池が多用されています。これはこれで小電力という用途にかなっているためで、ここでは詳しくは触れません。
さて、独立システムに用いる鉛蓄電池ですが、その構造と扱いによっていくつかの分け方があります。まず、ホームセンターや自動車屋さんで売っている蓄電池と異なるのはサイクルユースであることは上記しました。その他に、サイクルユースとしてもいくつか種類があることをお話します。まずは12V(6セル1バンク)となっているものか、2V単電池の組み合わせで構成されるバッテリーバンクかということです。ホビー用途としては自動車の蓄電池と見た目も接続方法も大きくは変わらない12Vの電池をおすすめします。これは汎用で100AH程度のものがありますのでこれを半分の放電で使えば毎日50AH、つまり50(A)*12(V)で600W程度まで使うことができるでしょう。例えば60Wの電球あるいは60W程度のノートパソコンを10時間ということです。若干余裕を見てあるのは全量放電する場合よりも、浅く放電した方が蓄電池への負担が少なく長持ちになるからです。長持ちというのは寿命のことです。蓄電池はどんなものでも完全放電してはなりません。特に鉛蓄電池は浅く放電しすぐに充電してやることでよい寿命特性をもつことが知られています。
次に2V単電池の組み合わせですが、ここには記述しきれません。簡単に申しますと大電力を得るためには12V電池の多数並列ではまずいということです。電池は並列使用よりも直列使用の方がセル電圧のばらつきなどの問題発生しにくく、2Vの大容量単電池を直列にして12Vなり24Vの公称電圧を稼ぐのが上手な使い方になります。(詳しくはお問い合わせください)

蓄電池の構造については実際の使い方から派生することからお話しましょうか。
一般に売られている自動車用蓄電池もそうですが、サイクルユースの蓄電池も開放式(ベント式)と密閉式(シール式など)があります。この2つの運用上の大きな違いは、電解液の補充があるかどうか、です。開放式の場合は充電時の電気分解によって蒸発してしまった電解液を定期的に点検し不足分を補充しなくてはなりません。電解液は希硫酸といい、文字通り酸です。比重計で電解液の比重を確認する作業も要ります。この比重を見て蓄電池の健康状態と容量をほぼ見抜くことができるのがメリットですが作業中に希硫酸を服につけてしまうことも多く、衣類や軍手は穴だらけになってしまいます。一方、密閉式は電解液の蒸散を抑え、充電中に生成された酸素を陰極に吸収させるものです。これは蓄電池転倒の際などに電解液流出の惨事にならないことから好んで使われるようになりました。太陽光発電においても蓄電池を室内に据える場合には密閉式を用いることをおすすめします。では何故開放式のものがまだあるのでしょうか?それは2次電池としての性能が高いからです。当店でお取り扱いするEB(開放式)とSEB(密閉式)ではEBの方が若干寿命が長いようです。それは蓄電池の特性差によるものもありますが、過放電に対するダメージも密閉式の方が大きいために独立システムでは両者の差が大きく現れるということもあります。また、開放式の方が過充電に強く、少々の過充電では電槽が変形することもなく事故になりにくいです。これらのことを踏まえ、換気の行き届いた場所では開放式を、狭い室内で使うには密閉式を使うことをおすすめします。
■使用方法と寿命(蓄電池選択のジレンマ)

高価な蓄電池のことです。出来る限り長く使いたいものですね。
すると寿命の観点からはどのようなものを選べばよいでしょうか。結論から申しますと価格面を含めた場合には開放式に軍配があがるでしょう。しかし単電池を用いたバッテリーバンクが大型化すればするほどその換気と設置スペースが問題になってきます。
一方で密閉式(陰極吸収式)は盤内への設置が可能でファン等による強制換気を必要としません。(消防法の扱いは変わりません)ですので、ラックを組み盤の中に収納することも可能な点でスペース効率が高いとも言えます。しかし、一般に密閉式は開放式に比して過充電過放電に弱く、独立用途ではその運用に緊張が絶えません。うっかりすると大量の蓄電池にダメージを与えてしまうからです。それではこれら便利な密閉式をどうすれば上手に使えるでしょうか?それは容量を多目に取ることです。そうすれば過充電と過放電の危険に安全率を加えることになります。問題は容量を増やすのに比例してコストアップに繋がることです。また、少々価格は高くなりますが、STL型の蓄電池は長寿命な分、長期的な目で見てコストを抑えることに役立つに違いありません。いずれにせよ、蓄電池は高価な消耗品ですので、よくよく考えて導入することをおすすめします。

■モニタリングをどうするか

■モニタリングの重要性
バッテリーの項でお話したように蓄電池の充放電の管理は少なからずその寿命に影響を与えます。またシステムの安定運用の観点からしても過放電による負荷の不動作は避けなければなりません。こうした観点からしてもシステムをモニタリングすることは決して趣味性の高いことではありません。
蓄電池、特に鉛蓄電池は残容量把握が極めて難しいという欠点があります。目安でも良いので充電放電の動きがわかれば過放電による蓄電池の故障は大幅に減るに違いありません。
私どもがよく出会う事例をお話しましょう。
山小屋、非電化地域のシステムなど真に独立システムが要求されている場合に顕著なのですが、システム使用者が複数居る場合にはシステム管理者以外が蓄電池残量やシステムの構成を深く考えずに蓄電池を使い切ってしまうことがあります(具体的には家庭で一部屋発電をする場合もこれに該当します。)もっと簡単に言えば、「電灯は一日5時間までにしようね」といった蓄電池の都合を考えた取り決めがいとも容易く破られてしまうのです。なぜなら、私たちの身の回りを見てみますと、通常の生活環境下では電気やガスといったライフラインが安定的である上、その使用量に制限が無いからです。これらのエネルギーは少なくとも個人レベルでは枯渇が無く、恰も際限の無いもののように見えます。したがって日常的な感覚で独立システムを使う人が誤って限りある蓄電池容量を使いきってしまうのは想像にに難くないでしょう。
そしてこの場合には蓄電池寿命が著しく短くなってしまうこと、運が悪ければ蓄電池損傷という事態が起きてしまうのです。
実際、あまりにもこれは多すぎる事例です。
これを防止するには、システム使用者内でのマニュアル化を徹底するか、負荷シャットダウン機能を設けるか、システム状態をわかりやすくするなどの工夫によること思います。
しかし、少なくとも当店では負荷シャットダウンはあまりおすすめできません。せっかく設置したシステムが不意に機能しなくなるのはあまりにひどいことだからです。システムを使う人からすればシステムを作った人または管理者が居ない限り灯りの消えたままの夜を過ごすようなことがあればそれは酷いことと言えましょう。仲間たちからの太陽光発電への信頼は失せてしまうかもしれません。ではマニュアル化はどうかと申しますと、これはそれなりに有効な方法です。しかし字を読んだり理解するのを億劫がる輩が必ず居ますし、それらの人々に強制をすることもやはり太陽光発電への不信感を生んでしまうと思うのです。
ヘンにストイックなエコロジーは周囲の人々を傷つけることになりかねません。一方、私たちが実績をあげ、うまく行っているなという方法はシステム状態の表示を設けることです。それは出来る限り誰にでもわかる形が理想だと思います。
もっとも安価にそれを実践する方法は蓄電池の電圧表示でしょう。電圧計を見易い場所に設置しておいて「これが12.0Vになったら使うのをやめようね。」とかどこそこの電源を落とそうなどという可視的なものを利用する取り決めがあれば限りあるものを使う実感がわき、誰もがそう無茶をしなくなるものです。
誰だって、水がめの底に残った水が見えていれば、無駄なシャンプーや歯磨きをせずに飲料水に使うでしょう。水がめの水が見えないからこそ、生活においても私たちは不用意に高い電気代を払ったり、高いガス代を払うことになってしまうのです。(これらはメーターが見えますが、室内からは見えません)
ところで、元の話に戻りますが、さらに言えば本当は蓄電池の残量把握をする際に、電圧監視だけでは不足なのです。実際は比重と温度を見て、普段どのように電力を使っているかまで勘案しないと実際の使用量と蓄電池残量の見当はつきません。しかしそれでは誰もが簡易にという徹底からまたひとつ遠のいてしまいます。
これはやはりシステム管理者の仕事であって、「面倒くさい」仕事なのですから。

そこで提案なのですが、ひとつ充電電流と放電電流を数値で表すことができるモニターを負荷の使用場所に設置してはいかがでしょうか?電力の使いすぎとバッテリー容量の不足が一目でわかるからです。当店では写真のようなモニターもご紹介していますのでぜひご活用ください。蓄電池の寿命が今までよりアップすることうけあいです。

目で見えればこそ多くの人の興味も深まりトラブルにも対処できるのだ。